姉さん事件です

先週、チェコに行ってきました。その話はまた後ほど書きますが、当然ながらチェコ語は全くわからなくて、発音の見当もつかなくて(Tさんすごいよ!と感動してばかりでした)。ドイツに戻ってきて、人の言っていることが何となくでもわかるって素晴らしい!と思った。外国語が苦手な私でも、少しでも単語が拾えるとか、頼りないけど発音できるという貴重な言語は大事に成長させなくてはいかん!と決意し直し、独会話・英会話をもっと頑張ろうと思った矢先の今日の出来事です。



お昼過ぎにパトカーのサイレンが聞こえ始め、気付いたら近くの通りに、尋常でない数のパトカーと警官が配置完了。渦中の交差点には、旗をマント状に着てホイッスルを吹き続けている人たちがうろうろしていました。


何事かと思いつつも、近寄らない方がいい気がして(マント旗にはアンチファシズムと書いてあるし)家に引きこもっていましたが、夕方になるにつれ、更に警官も増えたけれど、見物の人も増えていたので、少し安心した旦那さんに「ちょっと行ってきて、何事か聞いてきたら?」と派遣されました。


WHV中の警官が集まっているんじゃないか?という位、渦中の交差点に向かう道路は軒並み封鎖中。暇そうにしている警官のお兄さんと目があったので、勇気を出して(Polizeiに話しかけるのは初めて)、通れるかか聞いてみたらOKとのこと。てくてく歩いて行って、交差点近くで写真を撮っている御婦人とその息子らしき人に何事か聞いてみましたら、「ネオナチがいるのよ」。
どうも1軒のレストランにNPD(ドイツ国家民主党)がお客として来ていて、党大会を行っているとかで、そのレストランを囲む形で反ナチズムの集会が行われているようです。確かに反ナチスと書いてありました。NPDは非合法ではないそうですが、限りなく黒に近いグレーな路線のようです。警察は衝突を防ぐためにパトカーと警官で封鎖して両者の間を空けているようでした。警察発表と、おそらく集会を行っていたグループの発表


一緒に見ていたおじさんに「(ネオナチvs反ネオナチを見るのは)初めてか?」と聞かれました。「ここに1年住んでるけど初めてです。こういうのは良くあるんですか?」「いや、ない、、、〜〜〜、〜〜〜〜、、、、あー、わしの息子は英語をしゃべれるんだがなー」とおじさんもごもご。説明したい何かがあるみたいなんだけど、ドイツ語で説明してもきっと私がわからないから、わしの息子がいれば、というのでしょう(この短い会話でも何度言い直してもらったことか)。


ニーダーザクセンやフリースラントは、ドイツ国内でも、最後までナチス勢力に抵抗し続けた土地だと何かで読みました(地理的にバイエルンやミュンヘンから遠いせいかと思っているけど、別の理由もあるのかな)。旧東や大都市ではもっとネオナチの存在が大きいのでしょうが(私も10年前にベルリンで遭遇してます)、1年前にここに来てからはほぼ全くネオナチを見たことがなかったのに、なぜいきなり。(しかし彼らはWHV在住なのではなくて、全国から集まってBad Gandersheimで大会を開く予定が、急遽移動してきたという話のようです。車のナンバーはハノーファーからハンブルグ周辺から、本当に様々でした)。


静かな日曜にいきなりの大騒ぎでしたが、現在のドイツが抱えている危うさ(ナチズムを方針とする党が合法に存在できる)と、しかし、それに対抗する良識や常識が、普通のドイツの方々の中にまだきちんと生きていることを見せつけられた日でした。




ただ本当のところ、外に行きたかった理由は、今ちょうど散りぎわの桜(家の横にある)の写真を撮りたかったからなのです。

みんなが物物しいバリケード方向にカメラを向けているのに背を向け、桜に向かい合い、「このアジア人、のんきに樹の写真なんか撮ってるよ」とか思われちゃうんだろうなーと思いつつも。チェコに行く前がちょうど満開だったのですが、帰ってくる頃には散ってると思っていたのに、気温が低かったせいか散る間際だったので。せっかくなので、撮っておきたかったのでした。